「IPアドレス」と「MACアドレス」。どちらも「アドレス」と呼ばれるので、同じものだと思っている人も少なくありません。
でも実は、まったく役割が異なる2つの仕組みです。
この記事では、初心者にもわかるように「住所」と「名前タグ」に例えて、IPアドレスとMACアドレスの違いを整理していきます。
IPアドレスとは?
IPアドレスは、インターネットやネットワーク上で通信するための「住所」です。
あなたのスマホやパソコンがインターネットに接続すると、通信相手がどこにデータを届ければいいかを、このIPアドレスが示しています。
- IPv4(例:192.168.1.10)やIPv6(例:2400:xxxx:…)という形式がある
- 通信のたびに変わる場合もある(動的IPアドレス)
- インターネット上の「一時的な住所」と考えると分かりやすい
MACアドレスとは?
MACアドレスは、ネットワーク機器そのものに割り当てられた「固有の識別番号」です。
スマホ、パソコン、プリンタ、ルーターなど、通信機能を持つ機器には必ず1つ以上のMACアドレスがついています。
- 製造時に割り当てられ、基本的に変わらない
- 16進数で表記される(例:00:1A:2B:3C:4D:5E)
- ネットワーク内で「この機械は誰?」と区別するために使われる
IPアドレスとMACアドレスの違いを整理
比較ポイント | IPアドレス | MACアドレス | 解説(イメージ) |
---|---|---|---|
役割 | 通信上の住所 | 機器そのものの識別番号 | 郵便の住所と表札の違い |
変化の有無 | 変わることがある(動的) | 基本的に変わらない | 引っ越せば住所は変わるが、表札の名前は変わらない |
形式 | IPv4/IPv6(数値) | 16進数(00:1A:2B…) | 表記の仕組みも違う |
利用場面 | 通信の届け先を決める | 機器を区別する | 「どこに」「誰へ」届けるかを決定 |
身近な例で考える
- 家の中のスマホ、PC、プリンタには、それぞれ固有のMACアドレスがある。
- ルーターは「MACアドレスで機器を区別」し、「IPアドレスで通信の行き先を決定」する。
👉 たとえばLINEのメッセージを送るとき:
IPアドレスが「届け先の住所」を決め、MACアドレスが「どのスマホなのか」を区別します。両方がそろうことで、正しく通信が行えるのです。
Bluetooth通信の場合
実はすべての通信でIPアドレスが必要というわけではありません。
たとえばスマホとBluetoothイヤホンを接続するとき、インターネットを経由しないためIPアドレスは使われません。
その代わりに、機器ごとに固有に割り当てられているMACアドレス(Bluetoothアドレス)を利用します。
「このイヤホンとつなぐ」「このキーボードとペアリングする」といった識別は、MACアドレスで行われているのです。
💡 ポイント
インターネット通信 → IPアドレスが必要(住所)
Bluetooth通信 → MACアドレスだけで成立(機器識別)
もしこれらが無かったら?
- IPアドレスが無ければ… データをどこに届ければいいのか分からず、通信が成り立たない。
- MACアドレスが無ければ… ネットワーク上で「誰が誰か」が区別できず、データが正しい機器に届かない。
イメージ:住所も名前もなければ、郵便物は正しく届けられないのと同じです。
豆知識・雑学
- IPv4とIPv6:IPアドレスには「IPv4(約43億個)」と「IPv6(ほぼ無限に近い)」の2種類がある。
- 複数のMACアドレス:スマホはWi-Fi用とBluetooth用など、複数のMACアドレスを持つことがある。
- プライバシー保護:最近のスマホには、追跡防止のため「MACアドレスをランダム化する機能」が搭載されている。
まとめ
- IPアドレス=通信のための住所
- MACアドレス=機器そのものの名前タグ
両方があるからこそ、インターネットは正しくデータを届けられます。
初心者にとっては混同しやすい用語ですが、「住所」と「名前」にたとえて覚えるとスッキリ整理できます。