モデムとルーターの違いを初心者向けにやさしく解説|仕組み・接続方法・選び方

ルーターのイメージ画像 IT基礎知識

「モデム」と「ルーター」、なんとなく聞いたことはあるけれど、違いを説明できる人は意外と少ないものです。
「どっちを買えばいいの?」「Wi-Fiがあればモデムはいらないの?」――そんな疑問を持つ人も多いでしょう。

実はこの2つは、インターネットを使うための“役割がまったく違う装置”です。
どちらも必要な存在であり、どちらか一方が欠けると、家のネットはつながりません。

私も以前は「Wi-Fiルーターがあれば全部できる」と思い込んでいました。
しかし、モデムの仕組みを理解したことで、ネットがつながらないときの原因がすぐに特定できるようになりました。

この記事では、まず最初に「モデムとルーターの違い」をシンプルに解説し、
そのあとで「モデムとは?」「ルーターとは?」を順に詳しく見ていきます。

読み終えるころには、あなたの頭の中に「家のネット構造の地図」ができているはずです。


まず結論 ― モデムとルーターの違いをざっくり説明

「モデム」と「ルーター」は、どちらもインターネットを使うために必要な機器ですが、役割がまったく異なります。ひとことで言うと、こうです。

  • モデム:インターネット回線とあなたの家をつなぐ装置
  • ルーター:その回線を家の中の複数の機器に分ける装置

つまり、モデムがなければインターネットに接続できず、ルーターがなければスマホやパソコンを同時に使えません。
この2つが連携することで、はじめて自宅のネット環境が完成します。

💡 たとえるなら「蛇口」と「分配器」
モデムとルーターの関係は、水道にたとえるとわかりやすいです。
モデムは、水道管(=インターネット回線)から水(=通信)を引き込む“蛇口”のような役割。
ルーターは、その水をキッチンやお風呂など、家中に分ける“分配器”のような存在です。

どちらかが欠けると、家の中に水(インターネット)が届かない――それがモデムとルーターの関係です。

🔍 どちらが必要?
よくある質問が「うちにはWi-Fiがあるから、モデムはいらないですよね?」というもの。
しかし、Wi-Fiは通信方式であって、回線をつなぐ機械ではありません。
Wi-Fiルーターも、モデムにつながって初めてネットが使えるようになります。

実際、ほとんどの家庭では「モデム+ルーター(Wi-Fi対応)」というセットで利用されています。
モデムは回線業者から貸与され、ルーターは自分で購入するパターンが一般的です。

💡 ポイントまとめ
・モデム=回線を“変換して引き込む”装置
・ルーター=通信を“分配して管理する”装置
・Wi-Fiは通信方式であり、機器ではない
・自宅のネットは「モデム → ルーター → 機器」という流れでつながっている

モデムとは?(仕組みと役割)

「モデム(Modem)」とは、インターネット回線とあなたの家をつなぐ装置です。
正式名称は “Modulator-Demodulator(モジュレータ・デモジュレータ)”。
難しそうに聞こえますが、要するに「回線をパソコンなどが使える信号に変換する装置」です。

🔧 モデムの基本的な役割
モデムは、回線業者(光回線・ケーブル回線など)から送られてくる“通信信号”を、家庭のパソコンやルーターが理解できるデジタル信号に変換します。
この“信号の変換”こそが、モデムの最も重要な仕事です。

反対に、あなたのパソコンから送信したデータも、モデムが再び回線向けの信号に変換して送り返します。
この双方向の変換があるからこそ、インターネットが成り立っています。

🏠 光回線では「ONU」がモデムの代わりになる
最近の光回線(フレッツ光・NURO光など)では、モデムの代わりに「ONU(Optical Network Unit)」という機器が使われています。
これは光信号を電気信号に変換する装置で、仕組みはモデムとほぼ同じです。
つまり、ONU=光回線専用のモデムです。

家のインターネットの入り口
(インターネット)⇄(モデム/ONU)⇄(ルーター)⇄(スマホ・PCなど)

⚠️ よくある誤解と注意点
・「Wi-Fiがあるからモデムはいらない」は誤り。Wi-Fiルーターはモデムの後ろで動く装置です。
・不調時は「モデムの再起動」で直ることも多い(回線認証の再確立)。
📝 まとめ:モデムのポイント
・モデムは「信号変換装置」/家のネットの“玄関”
・光回線では「ONU」が同役割
・モデムなしにインターネット接続は成立しない

ルーターとは?(仕組みと役割)

モデムが“インターネットの入り口”なら、ルーターは“家の中の交通整理係”です。
モデムから届いたインターネット信号を、パソコン・スマホ・タブレットなど複数の機器に振り分けてくれる装置――それがルーターです。

ルーターの基本
ルーター(Router)の「route(ルート)」は“経路”の意味。データの行き先を決め、家庭内の各機器に適切に配布します。

💡 例えるなら「郵便局」
・モデム=外の郵便局(インターネット)との接点
・ルーター=町の郵便局(仕分け・配達の指令塔)
・各機器=家庭のポスト(IPアドレスという“住所”で識別)

📶 Wi-Fiルーターは“無線ルーター”のこと
近年は「ルーター=Wi-Fi対応」が一般的。
有線ルーター機能に加え、電波で通信するアクセスポイント機能を内蔵しています。

⚠️ 誤解に注意
・ルーター単体では外のネットに出られません。モデムと接続して初めてインターネットが使えます。
・中継器は“電波を延ばすだけ”の別装置。ルーターとは役割が異なります。
📝 ルーターが担う主な機能(重要)
1. DHCP:機器へIPアドレスを自動割り当て
2. NAT:家庭内と外部ネットを安全に区切る
3. セキュリティ:暗号化/不正アクセス防止
💡 まとめ:ルーターの要点
・家の中の通信を“分配・管理”する装置
・Wi-Fi対応は無線機能を内蔵したルーター
・モデム+ルーターでネット環境が完成

モデムとルーターの関係を図で理解する

ここまでで、「モデム=外の世界とつなぐ装置」「ルーター=家の中で分ける装置」とわかりました。
では実際に、この2つはどう接続されているのでしょうか?

🌐 ネット接続の基本構成
(インターネット)⇄(モデム/ONU)⇄(ルーター)⇄(スマホ・PC・ゲーム機など)

  1. モデム(またはONU)が、外部のインターネット回線と通信する
  2. ルーターが、家庭内で複数の機器に通信を分配する
  3. 各機器は、ルーターを通して外のネットとつながる

🔁 通信の流れ(例)
PCでサイトを開く → ルーターにリクエスト → モデムで回線用に信号変換 → インターネットへ送信 → 返信データが逆順で戻る。

📡 よくある家庭構成
光回線 → ONU(光モデム)Wi-Fiルーター → 各機器(PC・スマホ等)
※ ONUとルーター一体型の「ホームゲートウェイ(HGW)」も増えています。

⚠️ 配線と起動順に注意
モデムのLANポートルーターのWANポート をLANケーブルで接続。
・起動は「モデム → ルーター → 各機器」の順で。
💡 まとめ
・モデム=“外のネット”の入口/ルーター=“家の中”の分配係
・2台でセット稼働するから、どちらかが止まると通信断
・HGWはモデム+ルーター一体型の呼び名

よくある混同 ― Wi-Fi・中継器・ハブとの違い

1. Wi-Fiとは?(通信の方法を指す言葉)

Wi-Fiは「無線通信の仕組み」の名称で、機器の名前ではありません。
Wi-Fiルーター=ルーター+無線アクセスポイントです。

💡 チェックポイント:
Wi-Fiは方式名。インターネット接続にはモデム+ルーターが必要です。

2. 中継器とは?(Wi-Fi電波を延ばす装置)

Wi-Fi電波を受けて再送信し、届きづらい場所までカバーします。
中継器単体ではネット接続はできません。

⚠️ 注意:
中継器は“延長”専門。モデムやルーターがあって初めて意味を持ちます。

3. ハブとは?(有線通信を分ける機器)

LANケーブルでの接続口を増やす「分岐装置」。
信号制御は行わず、インターネット接続機能はありません。

📝 アドバイス:
複数台の有線接続が必要なオフィス等で活躍。家庭用では出番は少なめです。

4. 3つの違いを一覧で整理

機器 主な役割 できること インターネット接続に必要?
Wi-Fi 無線通信の方式 ケーブルなしで通信 モデム・ルーターが必要
中継器 電波の延長 Wi-Fiを遠くへ再送信 モデム・ルーターが必要
ハブ 有線分配 LANポートを増やす モデム・ルーターが必要
💡 まとめ:
モデム&ルーターが“土台”、Wi-Fi/中継器/ハブは“便利にするオプション”。

モデム・ルーターの選び方と買い替えの目安

1. モデム(ONU)は基本「レンタル」

回線事業者からの貸与が一般的。
10年以上前の機種は規格が古い可能性があるため、交換対象かを事業者に確認しましょう。

💡 チェックポイント:
モデムは事業者設備。自分で買い替えるより交換依頼が基本です。

2. ルーター選びの3ポイント

  1. 通信規格:Wi-Fi 6(11ax)対応推奨(高速・低遅延)
  2. 同時接続数:家族・台数の増加に耐える(目安20台以上)
  3. 設置環境:広い家はメッシュWi-Fi/ワンルームは単体で十分
📝 アドバイス:
カタログ速度は理論値。実効は下がるため、余裕あるスペックを選ぶのがコツ。

3. 買い替え目安は「5年」

  • 速度低下や頻繁な再起動は寿命サイン
  • 家の一部で電波が弱い/新端末で不安定
  • Wi-Fi 4(11n)以前は即交換推奨
⚠️ 注意:
古いルーターはセキュリティ更新も止まりがち。継続利用はリスクです。

4. 交換時の注意点

  • モデムLANポート ↔ ルーターWANポートを接続
  • PPPoE設定(ID/パスワード)が必要な回線もある
  • 旧ルーターを外してから新ルーターを接続
  • 端末のWi-Fi設定を再登録
💡 コツ:
「配線 → 設定 → 端末再登録」の3ステップ。迷ったらメーカーの簡単設定アプリを活用。
📝 選び方まとめ:
・モデム(ONU)は事業者管理/ルーターは自分で最適化
・Wi-Fi 6対応、メッシュの検討、5年サイクルで更新

まとめと実践チェックリスト

ここまでで、「モデム」と「ルーター」の違い、そして関連機器の役割まで整理できました。まずは全体像を振り返りましょう。

1. モデムとルーターの役割をおさらい

機器 主な役割 あなたがすること
モデム(ONU) 回線をネット信号に変換 回線業者からレンタル/交換は業者に依頼
ルーター 各機器へ分配・管理 自分で購入・設定・交換
Wi-Fi機能 無線で通信 Wi-Fiルーターを設置して利用
💡 チェックポイント:
モデムは“入り口”、ルーターは“分配係”。どちらが欠けても通信は成立しません。

2. よくあるトラブル対策チェックリスト

  • モデム(ONU)は10年以上前の機種ではないか?
  • ルーターはWi-Fi 6対応か?
  • ケーブルは正しいポート(WAN/LAN)に差してあるか?
  • 再起動で一時的に直るのは寿命サインかも?
  • 家の構造に合った環境(中継器/メッシュ)になっているか?
⚠️ 注意:
“とりあえずつながっている”で満足せず、最低でも5年に一度は点検を。

3. 見直しのベストタイミング

  • 新しいスマホやPCを購入したとき
  • 光回線やプロバイダを乗り換えたとき
  • 家族の台数が増えたとき
  • 引っ越し・模様替えでWi-Fi環境が変わったとき
📝 アドバイス:
「契約回線を変える前に、まずルーターを変える」。それだけで改善する例は多いです。

4. ネット環境の整備は「安心の第一歩」

インターネットは仕事・学習・生活の基盤。
モデムとルーターの違いを理解し、自分で基本設定ができるだけで、トラブルに強くなります。

💡 チェックポイント:
ITリテラシーは「ツールを知る」ことから。まずは自宅機器の型番を確認しましょう。

5. 今日からできる3つのアクション

  1. 自宅のモデムとルーターの型番をチェック
  2. ルーターが5年以上なら交換を検討
  3. Wi-Fi 6対応やメッシュWi-Fiを候補に
📝 最後に:
「なんとなく遅い」を放置しない。小さな見直しが、快適で安全なネット生活への近道です。
モデムやルーターの知識は、一度覚えればずっと役立ちます。専門用語に見えて、実は“家庭のネットを快適にするための常識”。
この記事が「ちょっと確認してみよう」と思うきっかけになれば嬉しいです。

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